2020年12月15日
幅広くワーケーション事業を担う「株式会社ふろしきや」による、「千曲市ワーケーション体験会」でのアンケート結果が2020年12月に発表されました。働き方の多様性が続々と叫ばれる中、テレワークやワーケーションについて興味深い回答が多数みられる内容となっています。
「ワーケーション」の現代における価値の見直し
「ワーケーション」に期待される役割
ワーケーションとはWork(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語です。明確な定義は決まっていませんがJTB総合研究所によると「ワーケーションとはリゾート地や地方等の普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得等を行う仕組み」を指します。
労務管理の観点からみると「休暇中などの一部の時間帯に会社に申請し承認を得た上で、通常の勤務地や自宅とは異なる場所でテレワーク等と活用して仕事をすること」となります。
(参考:ワーケーションとは?コロナで注目の事例・メリットや課題・自治体や総務省の狙いは…補助金情報も _ KAYAKURA-カヤクラ-)
ワーケーションとの定義は上記のような仕組みに基づいた主に企業の健康経営に関与するものでした。しかし近年は、とりわけリフレッシュ・自己研鑽などを兼ねつつ、遊びながら仕事や趣味を行うこと、旅しながら仕事することなど、旅先×自由な仕事の考え方という側面から非常に有意義な考え方として注目を浴びています。さらに現在は、新型コロナウイルスの蔓延を代表的な背景として、働き方そのものが大きく見直されつつある中で、非対面式・テレワーク・リモートワークなど、日本政府自らがオンライン環境を充実させ、在宅・遠隔地で仕事を行う環境を推進していることからも、ワーケーションへの社会的な関心は日々高まってきていると言えるでしょう。
長野県を拠点とする株式会社ふろしきや「ワーケーションが日本のワークスタイルをより豊かにする」
株式会社ふろしきやでは、信州リゾートテレワークのモデル地域である長野県千曲市を舞台として、これまでに計4回、合計100名以上の人たちを受け入れたワーケーション体験会を実施してきました。
今回の参加者は、フリーランス、企業経営者など総勢21名。ワーケーションアイデアを共に出し合い、興味深い結果となっています。
(写真:<働き方+ワーケーション調査>変化するワーケーション、最も望まれる要素は「出会い」が67%|株式会社ふろしきやのプレスリリース より抜粋)
長野県千曲市について
長野県千曲市(ちくまし)は、長野県の北部、北信地方の千曲川中流域に位置する人口約6万人の市です。旧・埴科郡戸倉町と更級郡上山田町は全国的に戸倉上山田温泉として知られ、善光寺詣りの精進落としの湯として明治期の開湯から100年余りの歴史を有する名湯の地です。(参考:千曲市 – Wikipedia)
※株式会社ふろしきやについての情報は本記事下部にて記載しています。
働き方+ワーケーション調査結果に見る、変化するワーケーション
本データ分析は、先に述べた「千曲市ワーケーション体験会」に参加したフリーランスや公務員、企業に勤める人ら21名が対象となっています。
1.ワーケーションの価値が「仕事・休暇」から「出会い」に変化
67%の人が「出会い、セレンディピティ、対話、連携、共感」を重視
(写真:<働き方+ワーケーション調査>変化するワーケーション、最も望まれる要素は「出会い」が67%|株式会社ふろしきやのプレスリリース より抜粋)
本ワークショップの中で、「ワーケーションを考えるにあたり自分の働き方に加えたい要素」について聞いたところ、67%の人が「出会い、セレンディピティ、対話、連携、共感」と回答しました。次いで52%が「自由、リラックス、癒し、整える、身軽さ」、更につづいて「学び、勉強、インプット、アップデート、視野を広げる」、「変化、ワクワク、感動」…と続きます。こうした結果から分かることは、ワーケーションにおける新たな価値の台頭。特に「出会い」に注目が集まっているのです。ワーケーションは先に述べたように、従来「仕事と休暇だけの概念」で捉えられることが一般的でしたが、「出会い」をはじめとして多くの要素が期待されるコンテンツに変化していることが分かります。これらの要因として考えられるのは、たとえばワーケーションの実践者を中心にそのメリットが少しずつ広まっていること、そして、多くの場所がワーケーション受入に積極的姿勢であることなどが挙げられるでしょう。
「他者との交流はメリットある時間」は参加者による最高点を獲得
(写真:<働き方+ワーケーション調査>変化するワーケーション、最も望まれる要素は「出会い」が67%|株式会社ふろしきやのプレスリリース より抜粋)
また、体験会のアンケートで「ワーケーション中の他者との交流はメリットある時間でしたか」という質問に対しては、回答者全員が最高点をつけています(18名分の5段階評価の合計が90/90pt)。これらの要因として推察されるのは、コロナ禍による人と人の接触を減らす働き方による反動、さらにワーケーション特有の「ONとOFF」「仕事とプライベート」「日常と非日常」が混ざり合っている環境が心地よい自然体の交流の形を生んでいることなどでしょう。このように、「交わり」こそが今の社会情勢でのワーケーションの大きな価値になる可能性を秘めているといえるでしょう。
2.理想のワーケーションは“第2、第3のふるさとづくり”
また、ワーケーションの理想について土地を踏まえた興味深い結果も出ています。
ワーケーションを通して“ふるさとを増やす”
(写真:<働き方+ワーケーション調査>変化するワーケーション、最も望まれる要素は「出会い」が67%|株式会社ふろしきやのプレスリリース より抜粋)
体験会参加者同士で「こんなワーケーションをできたらいいな」といったアイデアソン(夢ワーケーションアイデア)を行った結果、「非日常の空間で日常と非日常(個人とみんな)が共存できる、第2、第3、第4のふるさとがどんどんできて行くようなワーケーション」、すなわち、地元以外をワーケーション実施地に選び、ふるさとを増やしていく動きをしたいといった声が21票中7票と、最も共感を集めているのです。
地元の人達との関わりが豊かさを産む
(写真:<働き方+ワーケーション調査>変化するワーケーション、最も望まれる要素は「出会い」が67%|株式会社ふろしきやのプレスリリース より抜粋)
さらに「体験会中~終了後、他の市町村でもワーケーションしたいと思いましたか?」というアンケートでは、18名分の5段階評価(満点90pt)で合計89ptと、ほぼ全員が回答しており、参加者のほとんどは今後のワーケーション参加に意欲的です。やはり来訪先の人達と面と向かって交わる効果は非常に大きく、働き方の変化の先に「ON/OFFを交えてより多くの人達と出会い繋がる豊かさ」を感じられるワーケーションが望まれていることがわかります。
3.社会学的観点からも、ワーケーションによる関係人口化が広がる可能性が示唆
今回の体験会やアンケートは、ワーケーション実施における新しい効果を見出すことにも繋がったようです。
「交流機会」としてのワーケーション
今回の体験会では、職場の同僚や家族、友人らではなく、これまでは繋がりの無かった人々とワーケーションを通して弱い繋がりが形成されました。これにより流動性が高まり、ニーズと価値の多様化が進む今日のビジネスシーンにおいて新たな価値を創造する大きなステップとなっていると言えるでしょう。つまり、普段の職場を出てワーケーション体験会に参加する層は、新しい知を生み出すためのExploration(知の探索)のためにワーケーションを行うということです。従って今後ワーケーションを推進する企業や地方自治体、関連事業者は、これまでの「仕事と休暇だけの概念」で捉えられることが多かったワーケーションの枠を超え、目的によっては「交流機会」に重きをおいたワーケーションを PR することで、新たな顧客獲得に繋がると考えてよいでしょう。
関係人口の創出をワーケーションで
また、ワーケーションには実際に、関係人口創出につながる可能性があるということも明らかになりました。更に重要なのは、創出された関係人口は、ワーケーションを共通項として、他自治体とも関係人口化する可能性があるという点です。従ってワーケーション推進側のアクターは、顧客を共有してさらに育ててゆくこと、そしてワーケーションを共通項とした横のつながり、すなわちワーケーションネットワークといったものを構築することによって、より相乗的な効果を生み出すことができると考えられるでしょう。
■会社概要
会社名:株式会社ふろしきや
代表者:田村 英彦
本社所在地:〒387-0016 長野県千曲市大字寂蒔177-1
設立日:2016年1月6日
事業内容:
・地域ブランディング要件定義
・データ、情報解析による現状の可視化
・プロジェクト構想・実行プロセス設計
・行動設計に基づく空間ディレクション
・ライフデザイン&マネジメント支援
URL:http://furoshiki-ya.co.jp/
■本件に関するお問い合わせ
株式会社ふろしきや 代表:田村英彦
TEL:090-1957-1073 e-mail:tam@furoshiki-ya.co.jp
ワーケーションページ:http://furoshiki-ya.co.jp/projects/work-at-chikuma/