「東京一極集中」に変化か?地方でのワーケーションに関心高まる

2021年01月30日

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、地方移住やワーケーションが広まる中で、東京でも例年の人口の「一極集中」に、新たな動きがありそうです。東京以外の地方自治体の動きにも注目が集まっています。

 

【東京】2020年の人口移動報告

総務省では1月29日、住民基本台帳に基いて、2020年の人口移動報告書を提出しました。東京での転入者数は、転出者数を上回る3万1125人で例年とおなじく「転入超過」ですが、その規模は前年と比較して縮小傾向にあります。月別のデータでは、7月以降6ヶ月連続で転出が転入を上回っています。転出先は東京近郊が多め。これには、新型コロナウイルスの感染拡大にともなってのテレワーク普及などが影響したとみられています。

 

緊急事態宣言下では「テレワークで出勤者65%減」も

2回目の緊急事態宣言下では、政府が「出勤者数7割削減」を要請する一方で、テレワークが困難な製造現場などの従業員を除き、出勤者数の削減割合は、宣言下の11都府県で65%でした。

 

都の転入超過は19年と比較して5万人以上減

都道府県別の転入超過数をみると、転入超過となっているのは全国のうち東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、福岡県、沖縄県および滋賀県の8都府県です。そのうち、「転入超過数が最も“縮小”しているのは東京都で、5万1857人でした。「転出超過」となった都道府県は39都道府県ですが、転出超過数が最も拡大しているのは愛知県の5365人です。

(画像:https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.html より抜粋)

 

三大都市での転入、転出

3大都市圏(東京圏,名古屋圏及び大阪圏)の転入超過数も見てみましょう。東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)の全体では、8万1738人の転入超過を記録しています。これは前年と比較して4万7931人の縮小です。東京圏単体では9万9243人の転入超過となり、これは前年と比較して4万9540人の縮小となりました。

(画像:https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.htmlより抜粋)

 

転出先、最多は

いっぽう、転出先として多いのは神奈川県が最多の9587人、次いで千葉県6018人、埼玉県5003人。総務省の担当者は「テレワーク導入などで東京周辺に住宅を持つケースが考えられる」と分析しています。通勤回数の減少や縮小にともなって、近郊に移り住む動きが拡大してきた可能性があります。

「転入超過」数の観点からも見てみると、全国1719市町村のうち、転入超過を記録したのは453市町村で、これは全市町村の26.4%にあたります。転入超過数が最も多い市町村は大阪府大阪市(1万6802人)、次いで東京都特別区部(1万3034人)、神奈川県横浜市(1万2447人)、さいたま市(1万922人)、次いで札幌市、福岡市、川崎市、などがつづきます。

(画像:https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.htmlより抜粋)

 

 

地方への関心が高まった原因は?

このように、例年転入超過によって一極集中状態が続いてきた東京都の状況が変化し、周辺地域への転出へと移り変わりつつある現状には、おそらく新型コロナ対策によって、職場以外で働くテレワークが浸透しつつあるという背景、人口過密な都市部を中心に感染が広がったことで地方への関心が高まったことなどが経緯として挙げられるでしょう。

 

神奈川県の担当者「劇的な変化」

(画像:https://www.kanagawa-kankou.or.jp/?p=we-page-entry&spot=331748より抜粋)

神奈川県の担当者は、昨年4月以降の県の人の移動について、「劇的な変化があった」と指摘しています。さらにこうした状況をうけ、観光地などで余暇を楽しみながら働く「ワーケーション」を通じた魅力の発信にも力を入れる方針を明らかにしました。神奈川県は、これまでにも県をあげて「ワーケーション特集」と題し、ワーケーションが可能な県内のホテル・旅館を一般向けに公開したり、地域一帯となったワーケーションの取り組みを支援するために旅行予約サイト「じゃらんnet」に特設サイト「リゾートワーク in 箱根」を開設し、ワーケーション向け宿泊プランや箱根の魅力を紹介するなどを行ってきました。

(参考:https://www.kanagawa-kankou.or.jp/?p=we-page-entry&spot=331748

 

東京都以外の地方自治体

現状東京都からの転出先としては「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」といった近隣県が中心で、今後これ以外の地方に影響がおよぶかどうかは明らかではありません。しかしながら、地方の自治体担当者からは、「今後は地方に向かうトレンドになるのでは」(鳥取県)、「相談件数が増えている。チャンスだ」(石川県珠洲市)との期待の声も上がっています。(参考:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012901172&g=pol

 

「東京一極集中」是正なるか?

地方移住・田舎暮らしサポートのNPO法人

(画像:/https://www.furusatokaiki.net/より抜粋)

NPO法人「ふるさと回帰支援センター」は、全国45道府県の地域情報をそろえ、地方移住や田舎暮らしをしたい人達をサポートする移住相談センターです。ここには昨年6月以降、電話やメール、面談が月の平均で3000件近く寄せられており、この数字もまた19年度平均から約500件増加しています。こうした側面からも、先の東京都外への転出、地方移住や田舎暮らしを望む人達が増えている影響を見ることができます。高橋公(ふるさと回帰支援センター理事)氏は、「地域で受け皿を作ってしっかり支えていけば、その後も人の流れが続くはずだ」と話しています。(参考:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012901172&g=pol/https://www.furusatokaiki.net/

 

政府の戦略

政府による「地方創生総合戦略」では、2024年度には地方と東京圏との転入・転出を均衡させる目標を掲げています。武田良太総務大臣は1月9日の記者会見で「引き続き東京一極集中是正に向けた取り組みをしっかりと進めていかなければならない」と強調しました。(参考:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012901172&g=pol)また、総合的な戦略として三密を回避しつつ、地方自治体間での良好事例の共有などによって、地域における「感染症が拡大しない地域づくり」にも取り組みます。その上でこれまで培ってきた地方創生の取り組みを着実に行うこと、更に、感染症による影響を踏まえ、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、脱炭素社会(グリーン社会)、魅力ある地方大学の創出、オンライン関係人口、企業版ふるさと納税(人材派遣型)、スーパーシティ構想とともに地方創生テレワークという新たな地方創生の取組を全省庁と連携を取りつつ総合的に推進することを明らかにしています。(参考:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/r02-12-21-gaiyou.pdf

 

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