SDGsの課題「サンゴ礁の保全」、年間3兆円超えの経済効果をもたらす

2021年1月15日

持続可能な開発目標(SDGs)達成が盛んに謳われる現代、直接的に言及されてこそいませんが、複数の目標に大きな影響を及ぼす課題が存在しているのをご存知でしたか?それは、「サンゴ礁の再生・保全」です。

 

SDGs達成には「サンゴ礁」の再生/保全が必須

(画像:年間3兆円超えの経済効果をもたらす「サンゴ礁」の再生/保全。AI活用・インフルエンサー起用・サンゴ引き取りサービスまで(AMP[アンプ]) – Yahoo!ニュースより抜粋)

サンゴ礁は、SDGsの目標14「海洋と海洋資源の持続可能な開発」を目指す過程で重要な存在であることはいうまでもなく、そもそも目標1「貧困をなくそう」目標2「飢餓をゼロに」などにも多大なる影響を及ぼす要素です。海洋生態系を支えるだけでなく、貧困に悩む発展途上国/新興国にとって重要な観光資源であり、SDGsへと取り組むうえでは決して無視することのできない存在、それが「サンゴ礁」です。ですが現在、世界中のサンゴ礁はすでに全体の50%が消失しており、このままの状態が続けば2050年までにその90%を失うことになるだろうと指摘されています。

 

2050年までに90%を失う可能性、その場合・・・

「2050年までにサンゴ礁の90%を失う」…これが現実のものとなった場合、世界経済はどれほどの損失を被るのでしょうか。国連環境計画と国際サンゴ礁イニシアチブ(ICRIなどが2018年10月に発表したレポート「Coral Reef Economy」をベースに詳しく見てみましょう。

(画像:年間3兆円超えの経済効果をもたらす「サンゴ礁」の再生/保全。AI活用・インフルエンサー起用・サンゴ引き取りサービスまで(AMP[アンプ]) – Yahoo!ニュースより抜粋)

サンゴ礁が回復しない場合約3兆8000億円の損失に

たとえば、東南アジアのサンゴ礁地帯「コーラル・トライアングル」では、サンゴ礁の再生・保全に資金を投じ、サンゴ礁の健康状態が回復した場合、2017~2030年の14年間で合計して2250億ドル(約23兆)の経済価値が生まれます。これを年間換算すると161億ドル(約1兆6650億円)。一方で、サンゴ礁の健康状態が改善しない場合には、これより370億ドル(約3兆8000億円)低い数値となります。サンゴ礁が回復した場合とそうでない場合で、このような機会損失があるということです。

 

「漁業」「観光」「沿岸開発」への影響

サンゴ礁がもたらす経済価値は、漁業、観光、沿岸開発の3分野で算出されています。実際には創薬分野でも関心事となっていますが、これは含まれていません。ICRIの最新データでは、世界中の漁業と観光産業にてサンゴ礁の恩恵を受ける人の数はおよそ10億人。さらに、グローバル観光産業では、サンゴ礁がもたらす経済的な恩恵は年間360億ドル(約3兆7220億円)にも上ります。さきほどの数字には含まれませんでしたが、創薬分野でもサンゴ礁での新薬発見の確率は地上の生態系と比較して最大400倍高いと言われています。WWFによれば、地球全体の海洋面積でサンゴ礁が占める割合はわずか0.1%未満にもかかわらず、サンゴ礁は地球上の海洋生物の25%が生息する生き物のオアシスとなっており、なんと魚類だけでも4000種類以上にのぼります。また、観光の見地からは、美しいサンゴ礁がある地域では世界各国からダイバーや観光客が訪れる等、観光収入に貢献していることは言うまでもありません。漁業と観光業では、サンゴ礁は不可欠な存在なのです。

 

データ活用も…現在進行中の取り組み

(画像:年間3兆円超えの経済効果をもたらす「サンゴ礁」の再生/保全。AI活用・インフルエンサー起用・サンゴ引き取りサービスまで(AMP[アンプ]) – Yahoo!ニュースより抜粋)

今までは、サンゴ礁の再生・保全は一部の民間アクターや環境保護団体へと委ねられ、世界全体で体系的にコーディネートされてはいませんでした。しかしながらこのような事情をうけ、サンゴ礁の危機的状況や経済的な価値が広く知られるようになった今日、国際的に連携を行い、取り組みを実施する動きが目立ち始めています。

 

ICRIによる「Global Coral Reef Monitoring Network(GCRMN)」

取り組みのうち1つは、ICRIの「Global Coral Reef Monitoring Network(GCRMN)」。これは、サンゴ礁の状態に関して、グローバル・地域別にレポートにまとめる取り組みです。2020年までの世界のサンゴ礁の状況をまとめたレポートは2021年始め頃に発表する予定としています。また、このために既に75カ国より、サンゴ礁に関連する195のデータセットの取得・均質化を完了しています。サンゴ礁の再生・保全では、科学やビジネスの問題解決同様、どのような場合でも「グローバルに均質的で、統一性がある」データが必須になります。GCRMNのデータセットの取得・均質化は、レポート生成だけでなく、今後世界的に連携した取り組みを進めるための必要条件であり、一つの功績と言えるでしょう。

 

サンゴ礁の詳細な地理データ作成@ハワイ

サンゴ礁の再生・保全に向けたデータ取得の取り組みはハワイでも実施されたところです。EcoWatchの記事(2020年12月15日)によれば、米アリゾナ州立大学の研究者らが航空機を使い、これまでにはなかったほど詳細で精度の高いハワイのサンゴ礁の詳細な地理データを作成したとのことです。通常、既存の地理データの多くは地上からの観察や衛星写真を使って作られたもので、サンゴ礁の詳細を知ることは難しいとされていました。この詳細データは今後間違いなく、当局が戦略的にサンゴ礁再生・保全の取り組みを実施することへと貢献するでしょう。

 

ソーシャルメディア・インフルエンサーもフル活用

他にも、民間においても、ソーシャルメディアやインフルエンサーを巻き込みながら、一般消費者への認知拡大を目指す動きも頻出しています。

Coral Gardenersの取り組み

タヒチを本拠地とするCoral Gardenersは、サンゴ礁に関する啓蒙教育プログラムの実施、インフルエンサーとの提携、サンゴ礁の育成など、様々な角度からサンゴ礁の再生・保全に取り組んでいます。

 

サンゴの引き取り(adoption)

その一つが「サンゴの引き取り」というユニークな取り組みです。

オンラインでサンゴを購入する形で「引き取る」ことになる。引き取るといっても、実際に引き取るのではなく、購入したサンゴは、Coral Gardenersが活動する現地の海で育成される。購入者は、その育成過程を写真で見守ることになる。同社ウェブサイトによると、これまでに2万1000個体が引き取られたとのこと。

(参考:年間3兆円超えの経済効果をもたらす「サンゴ礁」の再生/保全。AI活用・インフルエンサー起用・サンゴ引き取りサービスまで(AMP[アンプ]) – Yahoo!ニュース

 

アンバサダーという形でインフルエンサーを起用した啓蒙プログラム

また、元ミスフランスや著名音楽家・写真家らをアンバサダーとして起用し、啓蒙プログラムも実施しています。このプログラムでは、「2025年までに世界10億人にサンゴ礁の重要性を伝えること」を目標としているようです。

 

AIを活用したサンゴ分析ツールの開発

更に、AIを活用してサンゴを分析するツールの開発も進行中です。これにより、いずれはリアルタイムでサンゴ礁の情報をシェアできる仕組みづくりを目指すとのことです。

 

Coral Gardian

Coral Gardenersだけでなく、インドネシア・コモド島近くで活動する団体もあります。同団体でもサンゴの引き取りプログラムを通じて、地元でサンゴ礁の再生・保全を行っており、

Coral Gardeners両者での活動によって、白化していたサンゴ礁が見事に生き返った事例も報告されています。

国連総会では世界初「サンゴ礁ファンド」が創設

2020年9月に実施された国連総会では、世界初となる「サンゴ礁ファンド」が創設されたところです。こちらは今後の動向や、追って情報をチェックしましょう。

 

上に述べた例やファンド創設を機に、サンゴ礁への世界的な関心が一層高まり、サンゴ礁の再生・保全が一層進むことが期待されます。

 

会社概要

会社名:株式会社ブラーブメディア

代表者:代表取締役社長/CEO 國枝 至

本社所在地:〒105-7135 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター35F

設立日:2016年4月1日

URL:http://blurbmedia.jp/

 

 

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