九州のコロナ予算案「1兆円」福岡中心に経済への影響を懸念

2021年3月21日

九州の予算案で、コロナ禍関連に割かれるものの合計が1兆円であることが発表されました。ビジネスの中心地福岡では、コロナ禍をうけて経済への影響が深刻です。ワーケーションなどを通して対策を講じる見込みです。

九州の予算、1兆円に迫る規模へ

(画像:九州、コロナ予算案1兆円 福岡など経済に重点|【西日本新聞ニュース】より抜粋)

九州の7県と3政令市が2021年度一般会計当初予算案に盛り込んだ新型コロナウイルス対策関連予算が総額9782億円に上り、1兆円に迫る規模になりました。各自治体とも感染拡大防止と経済対策を両輪としながらも、コロナ収束が見通せない中で多額予算の配分に腐心。流行の「第4波」が到来すれば一部事業の見直しも想定され、予算成立後も微妙なかじ取りが求められています。

予算は20年度を上回る可能性

10自治体は19年度末~20年度末にコロナ対策予算で総額1兆8362億円を計上しました。ある財政担当者は「感染状況次第では21年度も補正予算を組むことになり、20年度予算を上回る可能性は十分ある」とみています。

トップは福岡県の4156億円

21年度当初予算案のコロナ対策予算は、福岡県が4156億円とトップで、九州7県と3政令市の予算の約4割を占めています。福岡市が2589億円に上り、福岡県に隣接する佐賀県が920億円、熊本県が816億円と続きます。

福岡の予算全体(2兆円超)から見るコロナ対策

(画像:新型コロナ_ 福岡県21年度予算案 初の2兆円台 コロナ後へ産業育成_ 日本経済新聞より抜粋)

福岡では、総額2兆円超の予算内訳が話題となっています。県は15日、一般会計で2兆1361億円となる2021年度予算案を発表。20年度当初比で15.4%増え、2年連続で過去最大額。2兆円台となるのは初めてです。新型コロナウイルス対策として医療体制の強化や中小企業支援などに4134億円を充てるということです。コロナ後を見据えた新産業創出にも重点配分し、行政施策費は2倍超の5617億円にまで膨らみました。

(画像:新型コロナ_ 福岡県21年度予算案 初の2兆円台 コロナ後へ産業育成_ 日本経済新聞より抜粋)

まず、コロナの感染拡大防止や医療提供体制の強化に538億円を計上しました。内訳として、現在732床のコロナ病床は760床に増やし、軽症者を受け入れる宿泊療養施設も300室ほど増やす予定です。医療機関の病室陰圧化や体外式膜型人工肺(ECMO)などの整備も助成します。さらに、ワクチン接種では2月補正で3億円を計上しました。医療従事者21万人には県がワクチン接種するほか、専門的な相談を受け付ける窓口を設置するなど、市町村による円滑な接種実施を支援しています。

また、コロナ禍で落ち込んだ地域経済の立て直しには3595億円を充てます。中小企業の資金繰り支援では3444億円を金融機関に預託し、低利融資を促します。3年間実質無利子・無担保とするコロナ対応資金への利子補給で141億円、中小企業が信用保証協会に支払う0.8%の保証料の補塡に7億円計上し、実質ゼロにするか一部補塡します。中小の経営強化やデジタル化支援には37億円を計上しました。事業承継の知識を経営者に習得してもらい、デジタル人材を育成するセミナーを開く予定であるとのことです。

立て直しだけでなく、成長戦略にも積極的です。たとえば県では、コロナ後も見据えた新たな成長産業の柱として、宇宙とブロックチェーン技術、バイオの3分野を掲げており、研究開発費の5割を助成するなどの施策で2億4千万円を計上。久留米市で4月に開業する創業支援施設の入居費用も補助予定です。

また、持続可能な開発の観点も重視しており、「脱炭素社会」の実現に向けて洋上風力発電や水素エネルギー分野の企業集積・参入を促すイベント開催などに約3千万円を充てます。取り組みを加速させるため「地球温暖化対策実行計画」を21年に改定し、県内の二酸化炭素排出削減目標を掲げる方針を示しています。

さらに、テレワークの普及で、ワーケーションや移住など、人や企業が都市から地方に移住・移転する動きにも対応します。東京23区から地方に移住した人に最大100万円が支払われる国の移住支援金制度を県独自に拡充し、東京と名古屋、大阪の三大都市圏出身者も対象としています。企業の拠点新設や本社移転は18億円かけて支援する。国際金融機能の誘致には4千万円をかけ、香港でプロモーションなどを展開する予定です。

(参考:新型コロナ_ 福岡県21年度予算案 初の2兆円台 コロナ後へ産業育成_ 日本経済新聞

予算配分は自治体ごとのカラーに

感染防止と経済対策の予算配分は、自治体ごとに対応が分かれました。

たとえば、先に述べたように、企業が集積する福岡市は、コロナ対策予算の9割超が経済対策です。中小企業向け融資や公共事業などで地域経済を下支えする予定です。

佐賀県、長崎県、熊本県、北九州市も経済対策の比重を高くしています。20年度末の補正予算の段階で、ワクチン接種など感染防止に予算を充てた影響もあるということです。

対して大分、宮崎、鹿児島の3県は、経済対策より感染防止に重点を置いて予算を編成しています。宮崎県の担当者によれば、地域経済の復興を見据えてはいるものの、感染拡大を抑えるのが第一で、PCR検査、医療体制充実などに予算を回すということです。

「ウィズコロナ」時代に沿った事業展開を

現状、コロナ収束が見通せない中、感染症と共存する「ウィズコロナ」時代に対応する事業も展開していかなくてはなりません。北九州市では、経営リスク分散を図る首都圏のIT企業向けのサテライト拠点を誘致します。福岡市は、音楽イベントや演劇などのオンライン配信を支援します。また、大分県などは、観光地に滞在しながら仕事をする「ワーケーション」の事業環境を整備します。

ワーケーションについて

仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた造語。2000年代初めに米国で生まれた働き方の一つで、電話やメールの応対、オンライン会議などをこなしつつ長期休暇を取る。日本では企業研修を組み込んだり、地域のボランティアに取り組んだりと、さまざまな形式が模索されている。

(参考:ワーケーション|ワードBOX|【西日本新聞ニュース】

大分県のワーケーションの取り組み

(画像:大分県と富士通、移住・ワーケーションの協定締結–従業員の遠隔勤務が可能に – ZDNet Japanより抜粋)

大分県と富士通は3月24日、相互の連携/協力を通じて持続可能な地域社会の構築を目指す包括協定を締結しました。

富士通は、2020年7月から推進しているWork Life Shiftの取り組みの一環として、単身赴任の解消や家族事情による遠隔勤務を順次進めています。今回、大分県の助成などの支援のもと、本人が同県への移住を希望しているとともに、要件を満たしていて所属長が認めた場合において、同県での遠隔勤務を可能とする取り組みに乗り出しました。それにあたっては、大分県と連携してサテライトオフィスの設置など、環境整備の取り組みを推進していきます。また、短期間のあいだ、テレワークを活用して普段とは異なる場所や地域に滞在して仕事をする、現在注目度の高いワーケーションを支援していく予定です。その中で、大分県の観光業への経済効果、移住希望者の増加、富士通グループ従業員のリフレッシュ、地域への活動を通じた新たな知見の獲得を目指します。そして、各市町村と連携したワーケーションプランのプロモーション、富士通健康保険組合保養所を活用した取り組みなどを推進するということです。さらに、富士通グループの従業員が持つ知識や経験を生かした社会貢献活動、副業など多様なキャリア形成支援による県内産業の活性化、県が抱える地域課題の解決を推進していく見込みです。

(参考:大分県と富士通、移住・ワーケーションの協定締結–従業員の遠隔勤務が可能に – ZDNet Japan

課題は積算…周辺からの観光客誘致がカギか

こうして予算案が可決されても、コロナ禍の猛威がおさまらない以上、手探りの状態は続きます。熊本市は、熊本地震で損壊した熊本城天守閣が復旧を終えて、4月に内部が公開されるのを見据え、観光地の誘客プロジェクト費を計上しましたが、感染者数が下げ止まりしている首都圏向けの広報活動は難しいでしょう。担当者は、まずは周辺地域からの観光客の周遊を喚起したいと意向を明らかにしています。

■本件に関するお問い合わせ

各自治体へお問い合わせください。
元記事:https://www.nishinippon.co.jp/item/n/710318/

 

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